
Project Story
世界を驚かせた『生ジョッキ缶』。
ビール業界に変革を与えた開発ストーリー。
世界を驚かせた『生ジョッキ缶』。
ビール業界に変革を与えた開発ストーリー。


開発担当
2008年入社 H.T.

営業担当
2010年入社 S.H.
長年磨き続けた技術が、
今を切り拓く。
お二人はどのようなキッカケで
プロジェクトに関わったのでしょうか
H.T.:私たちが関わったのはFOE(フルオープンエンド)缶…わかりやすく言うと、2021年にアサヒビール様から発売された『生ジョッキ缶』、そのフタの部分の開発です。実は私たちが生ジョッキ缶のために立ち上げたプロジェクトではなく、もともと17年ほど前にお客様でのプロジェクトとして一時期進行していたものでした。当時私は大和製罐に入社したばかり。実は最初に参加した開発プロジェクトでもありました。
S.H.:当時は製品化にはいたらなかったのです が、今から5〜6年前にアサヒビール様から『泡立ちが見える缶ビールを発売したい』とのお話をいただきました。そのご要望ならばFOE缶がマッチするだろうと提案したところ、強く興味を示され、無事に採用。本格的な製品化に向けて、新たなプロジェクトがスタートしたのです。

新たにプロジェクトをスタートした際、
何かご苦労されたことはありましたか。
S.H.:今ではビールやレモンサワーなどに採用されているFOE缶ですが、そもそもは飲料ではなく食品用の缶を対象に開発されてきたものでした。ツナ缶やサバ缶などを想像してもらえるとわかりやすいかと思います。それを初めて飲料向けに仕様変更を行う際、実は技術面で数多くの課題が持ち上がり、なかなかハードルが高いということがわかったのです。
H.T.:食品用の缶詰は中の圧力が低い状態ですが、ビールは炭酸ガスが含まれていますので、必然的に缶の中は高い圧力がかかっています。この状態で開栓すると、瞬間に大きな爆発音が発生して中身が吹き出し、フタも飛んでいってしまう。さらにフタが圧力に耐えられるよう強度を高めようとすると、開けた飲み口の部分が鋭利な状態となり、口をつけると唇などを傷つけてしまいます。この二つのリスクをどのようにして解決するか、それに向けた試行錯誤は非常に大変でした。細かな調整を何度も何度も繰り返し、一つひとつの問題点を解決していく。そうして、テスト販売まで行き着くことができました。
ビールならではの
課題に向き合う日々。
ビールならではの
課題に向き合う日々。

『完売続出』は
想定外の反響だった。
製品化を実現させた後はスムーズに商品化できたのでしょうか。
S.H.:生ジョッキ缶については当初、どれだけの反響をいただけるのか予測できない状況でした。おそらく話題にはなるだろうけど、定番商品としてどこまでエンドユーザーに受け入れてもらえるかの懸念もあり、出荷個数を抑えたテスト販売をすることになりました。いざ販売してみると私たちの想定する以上の反響をいただき、完売する小売店が続出する状況に。 アサヒビール様もこの状況に驚いたと同時に、もっと缶を供給してほしいとの追加オーダーが入りました。この時は製造ラインの増設や納期までのスケジュール確保など、様々な調整に追われていましたね、うれしい悲鳴でしたけど(笑)
H.T.:もともと生ジョッキ缶の販売は2020年の東京オリンピック開幕に標準を合わせていたのですが、コロナ禍の影響で状況は一変。外飲みができなくなったことにより、家飲みニーズが急速に増加。そうした社会状況も、生ジョッキ缶ヒットの追い風となりました。実を言うとFOE缶は製造工程が多く、テスト販売時は設備化が間に合わなかったため、ほぼ手作業で製造を行っていました。一時期、生ジョッキ缶の販売がストップしたのには、想像を超える人気に対応するため 、我々の生産体制を整えるという背景もあったのです。

このプロジェクトを前に進めるうえで、
どんな社内の支えがありましたか。
S.H.:今回のFOE缶の件に限らず、もともと大和製罐は横のつながりが強い会社です。当時はコロナ禍でコミュニケーションはオンラインが中心でしたが、普段からお互い によく飲みに行くこともあるくらい仲がいいので、自然と協力体制ができあがっていったという感じです。
H.T.:私もFOE缶以外の開発を行う際、部門同士の隔たりを感じたことはないですね。みんなが新しい容器をつくりたいという思いを一つにしているので、部門間での壁はまったくないんですよ。
S.H.:あと、私たちはまだ業界のトップに立っていないという認識を共有しています。だから上を目指して今までにない価値を創造し、上を目指していこうと協力し合う文化が形成されています。それも様々な課題や困難を乗り越える力となっていると思います。
どんな困難も
乗り越えられる
企業文化がある。
ビールならではの
課題に向き合う日々。

大ヒットに満足しない、
すでに目線は
次の時代へ向いている。
今後のFOE缶について、どのようなビジョンをお持ちですか。
S.H.:現在は生ジョッキ缶以外にも、『未来のレモンサワー』をはじめとする様々な商品・ブランドにFOE缶が採用されています。生ジョッキ缶も売上好調をキープしている状況ですので、アサヒビール様のFOE缶に対する期待の大きさを強く実感しています。今後としては新しい時代に相応しい新しい価値を創造していくことで、アサヒビール様の期待に応え、市場に新しい風を吹かせていきたいです。
H.T.:様々なブランドへFOE缶を拡販できたことは率直にうれしいと感じているものの、それに甘んじていてはいずれエンドユーザーから飽きられてしまう。そうならないように毎月1回、アサヒビール様とのミーティングを行いながら、新たな一手を打つ準備を進めています。生ジョッキ缶においては最近では韓国など海外への販路拡大が進められていますので、グローバルな視点を含めた製品改良や新製品開発をしていきたいです。





